透明中隔は、脳梁上部で両側側脳室を隔てる板状構造だが、これが閉鎖せず内腔が嚢胞状に残存することがある。
こうした変異は正中余剰腔と呼ばれ、基本的には正常変異 normal variant である。
Monro 孔との位置関係により、透明中隔腔、Verga 腔、脳室間腔に分けられる。
透明中隔腔(cavum septum pellucidum)、Verga 腔(cavum Vergae)
脳梁の下方、脳弓および中隔帆の上方に位置する。
Monro 孔を越えて背側に広がる場合をVerga 腔(ヴェルガ腔; cavum Vergae)、越えない場合を透明中隔腔(cavum septum pellucidum)と呼ぶ。
両者は互いに交通しており、透明中隔腔が単独で存在することはあるが、Verga腔のみ存在することは基本的にはない(症例報告レベル)。
透明中隔腔(cavum septum pellucidum)
- 数 % の頻度で見られ、特に小児で高頻度。
- 大きくなり、透明中隔嚢胞と呼ばれる構造を形成することがある。
Verga 腔(cavum Vergae)
- 透明中隔腔が後方に進展したもの。
- 通常症状を伴わず、病的意義はない。
脳室間腔(中間帆腔; cavum velum interpositum)
- 中間帆槽が拡張し、上前方に進展したもの。
- 脳弓の下方、第三脳室および松果体の上方に位置する。
- 最前部は Monro 孔よりも前方へは進展しないのが特徴。
- 軸位断では、視床と側脳室三角部の間に、脳梁膨大部を底辺として Monro 孔後縁に頂点を結ぶ三角形を呈する。
- 10歳以下では3割に認めるが、加齢とともに減少する。
参考文献:『よくわかる脳MRI 第3版 画像診断 別冊 KEY BOOK』(学研メディカル秀潤社)
よくわかる脳MRI 改訂第4版 (画像診断別冊KEY BOOKシリーズ)